事業承継税制とは?
経営者から後継者へ自社株式や事業用資産を引き継ぐとき、多額の相続税・贈与税が発生し、それが事業承継の大きな壁になることがあります。事業承継税制は、一定の要件を満たすことで、この納税を猶予し、最終的に免除まで受けられる制度です。
大切なポイント:この制度は税金が「なくなる」のではなく、まず「猶予(先送り)」される仕組みです。後継者が要件を満たし続け、さらに次の後継者に引き継ぐなどの事由が生じたときに、初めて猶予税額が免除されます。
制度の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(円滑化法) |
| 対象 | 非上場株式等を承継する後継者(法人版)、個人の事業用資産を承継する後継者(個人版) |
| 措置の種類 | 一般措置(恒久)、特例措置(時限、より有利) |
| 特例承継計画の提出期限 | 法人版:令和9年(2027年)9月30日まで(令和8年度改正で1年6か月延長) |
| 贈与・相続の実行期限 | 法人版:令和9年(2027年)12月31日まで(延長されていない) |
一般措置と特例措置の違い(図解)
手続きの期限タイムライン(法人版・図解)
事業承継税制の特例措置は、4つの期限を順番にクリアする必要があります。特に「計画の提出期限」と「実際に承継する期限」が別物である点を見落としがちなので、図で整理します。
対象になるための主な要件(法人版)
- 円滑化法に基づく都道府県知事の認定を受けた非上場会社であること
- 後継者は代表権を持ち、株式の一定割合以上を保有すること
- 特例措置の場合、後継者を最大3人まで指定可能(それぞれ10%以上の持株比率等が必要)
- 認定後の報告期間中(原則5年間)、代表者として経営を行う等の要件を満たし続ける必要がある
申請の流れ
- 認定経営革新等支援機関(税理士・公認会計士等)の指導・助言を受けながら「特例承継計画」を作成
- 期限までに都道府県庁へ提出し、確認を受ける
- 実際に株式の贈与または相続を実行
- 円滑化法に基づく認定申請を都道府県庁へ行う
- 認定書を添付して、贈与税・相続税の申告書を税務署へ提出
- 認定後も、報告期間中は年次報告書・継続届出書の提出が必要
注意点
- 猶予は「免除」ではありません。要件を満たさなくなると、猶予税額に利子税を加えて納付する必要が生じます
- 対象株式を譲渡した場合や、継続届出書の提出を怠った場合など、取消事由に該当するケースが複数あります
- 計画を提出しても、必ず制度を使わなければならないわけではありません。将来の選択肢を確保する目的で、まず提出しておくという考え方も実務上有効です
まとめ
- 事業承継税制は、後継者が引き継ぐ株式・事業用資産の相続税・贈与税を猶予・免除する制度
- 特例措置は一般措置より大幅に有利(猶予割合100%、対象株式数の制限なし)だが、事前の計画提出が必須
- 令和8年度改正で「特例承継計画」の提出期限は延長されたが、実際の贈与・相続の実行期限は変わっていない
- 継続的な要件維持が必要な制度のため、専門家と長期的な視点で検討することが重要
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※本記事は2026年8月時点の公開情報をもとに作成しています。税制改正により要件・期限が変更されるため、必ず中小企業庁・国税庁の公式サイトで最新情報をご確認ください。



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