高年齢雇用継続給付とは?
定年後に再雇用されると、多くの場合給料が下がります。その収入減を雇用保険から補うのが高年齢雇用継続給付です。ただし2025年4月の法改正で制度が縮小段階に入っており、将来的な完全廃止に向けた道筋が示されています。13本目で紹介した「65歳超雇用推進助成金」が事業主向けなのに対し、こちらは労働者本人が受け取る給付金です。
制度が縮小されている理由
2013年から段階的に進められてきた「65歳までの雇用確保措置の義務化」が2025年度で完全に定着したことを受け、「収入減を給付金で補う」という制度の役割は終えつつあるというのが縮小の背景です。企業に65歳までの雇用継続が義務付けられた今、給付金に頼らない賃金制度の構築が求められる方向に政策がシフトしています。
支給率縮小の全体像(図解)
2025年4月1日以降に60歳に到達する人から、支給率の上限が15%→10%に引き下げられました。
| 60歳到達時期 | 支給率上限 |
|---|---|
| 2025年3月31日以前(昭和40年4月1日以前生まれ) | 15%(従来どおり) |
| 2025年4月1日以降 | 10%(新ルール) |
自分がどちらの基準に該当するか、60歳になった時期で必ず確認してください。
支給額のイメージ(図解)
60歳時点の賃金と比べて、現在の賃金が61%以下に低下した場合に給付率が最大になります。
例えば60歳時点の賃金が月30万円だった方が再雇用で月18万円(60%に低下)になった場合、2025年4月以降に60歳になった方は新賃金の10%=18,000円が上乗せ支給されるイメージです(旧ルールなら15%=27,000円)。
制度の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施機関 | 厚生労働省(財源:雇用保険) |
| 対象 | 60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者で、賃金が60歳時点比75%未満に低下した人 |
| 支給限度額 | 386,922円(2025年8月〜2026年7月、毎年8月に改定) |
| 申請窓口 | 勤務先経由でハローワークへ |
注意点:月途中の退職は要注意(図解)
支給対象月として認められるには、その月の初日から末日まで継続して雇用保険の被保険者である必要があります。
65歳になる月に退職する場合、月末ではなく月の途中で退職してしまうと、その最後の月は1円も支給されません。退職日を月末に設定できないか、事前に確認しておく価値があります。
2026年4月からの年金制度変更もあわせて確認
高年齢雇用継続給付とは別に、2026年4月から在職老齢年金の支給停止基準額が月51万円から65万円に引き上げられる予定です。働きながら年金を受け取る場合、給付金が減っても、年金が全額もらいやすくなる分でバランスが取れるケースもあります。両方の制度を合わせて手取りを試算することが重要です。
申請の流れ
- 60歳到達時、勤務先が「高年齢雇用継続給付受給資格確認票」等をハローワークへ提出
- 本人は60歳到達時賃金、賃金台帳、出勤簿等の情報を勤務先へ提出
- 初回申請は支給対象月から4か月以内、以降は2か月に1度継続申請
- 審査後、指定口座へ振込
まとめ
- 高年齢雇用継続給付は、定年後の再雇用等で賃金が下がった場合に雇用保険から支給される給付金
- 2025年4月以降に60歳になる人から支給率上限が15%→10%に引き下げられ、将来的な完全廃止が見込まれている
- 支給対象月は「月初から月末まで継続して被保険者」が条件のため、65歳退職時の退職日設定に注意
- 65歳超雇用推進助成金(事業主向け・13本目)とセットで理解しておくと、会社側・個人側の両方の支援を把握しやすい
関連リンク
※本記事は2026年8月時点の公開情報をもとに作成しています。支給率・限度額は制度改正・年度更新により変更されるため、必ず厚生労働省・ハローワークの公式サイトで最新情報をご確認ください。



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